@article{oai:kobe-tokiwa.repo.nii.ac.jp:00000446, author = {Manuel, YANG and 黒野, 利佐子 and Manuel, YANG and KURONO, Risako}, issue = {1}, journal = {神戸常盤大学紀要, Bulletin of Kobe Tokiwa University}, month = {Nov}, note = {The following is a Japanese translation of an exchange between the American physician and anthropologist Paul Farmer and journalist Laurie Garrett over Garrett’s “The Challenge of Global Health”, an article that appeared in the January/February issues of Foreign Affair. In it Farmer points out that although many of the criticisms Garrett lays at the feet of recent resurgence in what she describes “stovepipe” funds - funds earmarked for specific disease, particularly AIDS - in failing to promote general healthcare in the world’s poorest countries are justified, his own experience with Partners in Health( of which he is a co-founder) in practicing social medicine at the grassroots in Haiti, Rwanda, and other places demonstrate the possibility of utilizing these very “stovepipe”, vertical funds for “horizontal”, more comprehensive healthcare. In order to actualize such a universal healthcare, which views health as an inalienable human right, he offers a successfully field-tested alternative model of effective social medicine, in which trained healthcare workers distribute medication and work with doctors and nurses to integrate treatment with fulfillment of everyday social needs, such as subsistence and clean environment. Garrett’s reply, while acknowledging Farmer as one of the “heroes” in the current struggle for global healthcare, notes that she never questioned the constructive use of funds butthe recent resurgence of funds in the billions of dollars “ought to buy better” services., アメリカのフォーレン・アフェアズ(Foreign Affairs)誌2007年一月/二月号は、世界保健を専門とするジャーナリストであるローリー・ギャレットの記事「グローバルな公衆衛生の課題」(“The Challenge of Global Health”)を掲載した。この記事に対して、ハーバード大学社会医療学部所属の医師/人類学者ポール・ファーマーはコメント(“Intelligent Design”)を書き、それにまたギャレットは返答をした(“The Song Remains the Same”)。下記に訳出されているのは、フォーレン・アフェアズ誌2007年三月/四月号に掲載された、この討議であり、それを独立した形で発表すのには幾つかの重要な意義がある。第一に、フォーレン・アフェアズ誌がアメリカ政府と密着した超党派的組織「外交問題評議会」(Council of Foreign Relations)の出版物であり、「外交問題評議会」の一員であるギャレットとファーマーの討議に耳を傾けるのは、世界保健政策の動向に多大な影響を与えている政策立案者たちの議論を知る大きな手がかりになるからである。第二に、貧困国において最も大きな成果を収めている草の根医療団体の一つであるPartners in Health(PIH)の創始者の一人であり、ハイチを基点として世界の貧民保健の戦線で精力的に働き続け、社会医療の指導的な存在であるポール・ファーマーの議論は、現場にいる当事者特有の現実的で建設的な視点から展開されているだけではなく、発展途上国における保健医療と資金や国家も含む組織性に関する示唆に満ちている(ピューリッツァー賞作家トレイシー・キダーの手による、アメリカでベストセラーにもなったファーマーの伝記は『国境を超えた医師』として邦訳されているので、ファーマーの仕事に興味がある方には一読を勧める)。第三に、ファーマーが下記で「ハイチモデル」と呼んでいる「家族を基盤とした」治療方法は、医師や看護師といった職業枠を超えた地域共同体と有機的に繋がっている保健労働者を母体にしているもので、「保健」を医療的な問題だけではなく、「保健」に必要不可欠な生活の糧、清浄な環境、公正な労働条件を含む社会問題として捉える実践的模範を示している。日本の保健医療システムで働く我々が、世界といかに関わるべきなのかについてファーマーは大切なヒントを与えてくれるかもしれない。ギャレットは感染症を中心とした医療問題に関わる著名なアメリカのジャーナリストで、邦訳された著作は『カミング・プレイグ―迫りくる病原体の恐怖』と『崩壊の予兆―迫りくる大規模感染の恐怖』の二冊がある。ギャレットが「グローバルな公衆衛生の課題」(日本語版フォーレン・アフェアズ誌で入手可能)で展開している主旨はアフリカやハイチを含む困窮した地域に投入されている保健関係の資金は近年膨らんでいるが、それは貧民の保健を援助するどころか様々な問題を引き起こし、世界保健の危機の要因にまでなっている。その理由は資金の使用法が「垂直的に」限定されているからである(ギャレットは「ストーブの煙突」という比喩を用いている)。例えば、エイズに指定されている資金は他の疾患に割り当てることが出来ないため、バランスの取れた保健対策が出来ない現状を生んでいる。そして、これを改善するには地域からの頭脳流出を止め、援助の対象を貧民の保健全般に変えねばならないというものである。これに対してファーマーは、エイズ資金がこれだけ集結しているのは過去の資金不足の時期に比べれば世界保健の趨勢が健全な方向に向かっている印であり、ギャレットの指摘する問題は誤った管理を解消すれば改善されると主張する。その根拠として彼はハイチで特に大きな成果を実現したPHPの経験を引き合いに出し、ハイチに関する限り健康指標の低下はクーデターのような政治状況の悪化によるものだと反論するのだ。「保健」を人権全般の改善と切っても切れない本質的問題として捉えることをファーマーは特に強調し、エイズ資金の拡大に見られる「素晴らしい情勢」を全世界の保健を可能にするきっかけとして活用すべきだと提唱している。ギャレットはファーマーの功績に尊敬を示しつつも、記事で打ち出した自分の立場を保持する。つまり、保健資金が建設的なプログラムを作成できることを問題にしているのではなく、数十億ドルにも及ぶ資金を「夥しい数の世界保健プログラムにおける混沌、競争、頭脳流出、そして腐敗の現状」が無駄にしている現実を問題にしているのだと。}, pages = {61--70}, title = {保健はいかにグローバル化できるのか-「世界保健の課題」を巡るポール・ファーマーとローリー・ギャレットの討議-}, year = {2009}, yomi = {Manuel, YANG and クロノ, リサコ} }